こんにちは、名古屋こどもカウンセリングとSST教室のしらいしです。
「外ではいい子なのに家ではわがままや癇癪が多い」といった状況がある保護者様に向けて、その問題に対応するカウンセリングやSSTについて書いていきたいと思います。
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外の顔と家の顔
外に出れば多少は気を使うし、家に帰れば本音が出やすいのは、誰でも該当するものだと思います。
外は社会的な世界なので気も使いますし、ルールやモラルに沿わなければならない世界ですので自分勝手に好きなことができるものでもないでしょう。
その分、外では我慢を必要とされ、ストレスを感じるものです。
そして家では自分の本省や本音が出しやすくなります。
今回取り上げるケースでは、「外ではいい子なのに家でわがままや癇癪が多くなるお子様のケース」です。
※癇癪(かんしゃく)とは大声で泣いたり、暴れたりする子供の怒りの行動表現です。
ある程度の許容量を保護者の方も持っていると思うのですが、それを超える「わがまま」や「癇癪」が続くと今後のお子様が心配であったり、子供の外での様子やストレス処理などの問題に不安視してしまいます。
またわがままや癇癪の対応に疲弊し、親が精神的にまいってしまうこともあります。
大変な状態ではありますが、この「わがまま」と「癇癪」が起きているということは子供からのサインです。
うまくくみ取りながらも子供にも学んでもらう機会となれるといいですね。
外の顔と家の顔のどちらに問題があるか?
外の顔と家の顔どちらに問題があるでしょうか?
外で我慢したり、気を使いすぎたり、過剰適応することで、家でわがままや癇癪が強くなるお子様がいます。
これは非常にわかりやすく、事例も多いケースですね。
我慢が苦手なタイプであれば、
- 外で我慢することが当たり前という感覚に入る
- 我慢がうまくできるようになる
- 外で発散できる仕組みを作る(できなければ帰ってきてから)
- 我慢してできたことをほめる(報酬を与える)
- 落ち着くという概念を学ぶ
などを習得できると我慢ができるようになっていきます。
時間はかかりますが、療育的な手法やソーシャルスキルトレーニング(SST)、カウンセリングなどを組み合わせてご家庭と連携していきます。
過剰適応タイプですと、
- 外で自分を出せるようになる
- 気を使いすぎている部分とその理由に気付く
- 気を使う量の心理的なチューニング
- 適応や真面目さの調整
- 自分や自分の本音を取り戻す
などの調整や気づきが必要になります。
このタイプではカウンセリング的な手順で進めていくことが推奨されます。
さて「あえて外の顔と家の顔どちらが問題でしょうか?」という問いでスタートしましたが、これは良くない質問です。
実際には、家の顔も同じように問題の要因になっていることもあります。
要するにどちらにも理由や原因があることがあります。
家の顔の問題とは、
- やりたい放題できる環境がある(規制がなさすぎる)
- 優しすぎる環境がある(我が子を受け入れすぎてしまう)
- 厳しすぎる
- 子供に罪悪感があってうまく関われない
- 癖になってしまっている
- 子供がうまくストレスを発散できない
- 愛着の形成がうまくできていない
- 欲求に関する発達がうまくいっていない
などがあります。
外で頑張っている分、家での問題は目をつぶったり、受け入れたり、出させてあげることは大切です。
しかしそれが常習化して、癖のようになってしまうことがあります。
受け入れすぎてしまうことにより、問題行動が自分で止められなくなることもあります。
また厳しすぎて問題が出てしまうこともあります。
このあたりの塩梅は非常に難しいです。
ですが最も大切になるのは「適切な代替行動を教える」ことです。
多少のわがままがでてもうまく我慢できたら○○がある、といった親の指示をきける仕組みを作ったり、一緒にわがままをうまく扱う練習をしてみたり、わがままな要求から妥当な要求にシフトしていくことを教えたり、意外とできることは多くあります。
お子様に伝わらないと意味がないので、伝わりやすい提示の仕方も必要になります。
それでも難しい場合は、お子様が求めているものが異なることもあります。
一緒に楽しく遊びたい欲求が裏にあったり、発散したいエネルギーをため込んだり、そういったところにアプローチをすることも必要でしょう。
愛着の形成で安全基地をうまくつくれない、自分のなかに安心安全をつくれないというケースもこのように暴れる原因になります。
なんで親は自分のいくところについてきてくれないんだろう?という怒りと疑問が親に向かって暴力としてでることもあります。
要求が通らないことがあることを少しずつ学ぶのですが、なかなか理解できない、妥協できない場合もこの問題で苦しみます。
家での顔の問題は難しいケースも多く、家庭内だけではうまく処理できないこともあります。
当教室では、保護者の方と一緒に対応を考えながら、お子様の療育やSST、カウンセリングなどで問題の根本にアプローチしていきます。
家ではわがままや癇癪が多い理由と原因
家ではわがままや癇癪が多くなる理由として「我慢ができない」「過剰適応」「外の顔と家の顔」について書いていきましたが、それだけが原因でないことがあります。
- 自分の要求を押し通したい(自分が一番でありたい欲求が強い)
- 性格的な特性
- 母子分離や愛着形成の問題
- 対人コミュニケーションの苦手さ
- ストレスへの脆弱性
- 家庭内の問題
- 発達障がいなどの障がい特性
- 学業のストレス
- 時期によるもの
などがあります。
1.自分が一番でありたい欲求が強い
「自分が一番がいい」という欲求が強いお子様がいます。
園や学校で常に一番はかなり難しく、気持ちの腰が折れ、怒りや不満が強く感じてしまう場合があります。
そしてそれが外で出せずに家で爆発してしまいます。
負けても大丈夫な精神をつくと同時に、一番になりたい気持ちは推奨しながらも、一番でなければ自分ダメだといった強いこだわりや偏見を改善していくことが大切になります。
2.性格的な特性の問題
遺伝的なものや生まれ持ったその子の性格的な問題で「外の顔はよく、家の顔が悪い」特性が強く出てしまうこともあります。
またわがままさや癇癪も性格や特性によって出やすさが異なります。
性格の問題であっても行動し、練習し、学び、活かせば変化は必ずでてきます。
あまりお子様を責めずに一緒に練習していこうね、というスタンスも必要です。
3.母子分離や愛着形成の問題
母子分離が苦手で、いまでも親についてきてほしいといったタイプのお子様では、園や学校が安全で安心できる場所にはならないことが多くあります。
またうまく愛着を形成できず、精神的に安心感や安定感が少ない方も不安症が起きやすくなるといわれています。(養育の問題ではなく遺伝的な問題の場合も含む)
しっかり愛着形成を作ったり、安全基地を作ったり、自分のなかの安心感(精神的自立)をうながしていくことで変化が生まれていきます。
4.対人コミュニケーションの苦手さ
うまく友人関係が作れたり、楽しいお友達の時間が作られればいいのですが、難しい方もいます。
そういった場合には、放課の時間などがおっくうになった孤立感や孤独感が強くなり、心を余計に閉ざし、うまくコミュニケーションができる状態から遠ざかってしまうことがあります。
発散できる時間に発散できないことによって家で発散を求めてしまうケースがあります。
お友達と楽しく遊べるようになってくるとまた問題にも変化が生まれていきます。
SSTなどを利用して練習したり、なぜこんなにうまくできないかを理解することによって、上達していきます。(コミュニケーションは積み重ねなのである程度当人の求めに応じて上達します)
5.ストレスへの脆弱性
脆弱性(ぜいじゃくせい)とはもろさのことです。
ストレスに対してすぐに傷ついてしまう、深く落ち込むといった特性がある場合、対人関係はストレスのだらけになってしまいます。
またギャグやジョークといった理解ができるかどうかもこの脆弱性とかかわる場合があります。
この脆弱性も自己理解と受容、心理的なトレーニングによって耐性を強めることができます。
6.家庭内の問題
家庭の中での問題によってスイッチが入り、癇癪が起きてしまうことがあります。
両親は理解しているが、おじいいちゃんやおばあちゃんがうまくお子様を理解できず、スイッチを押してしまうこともあります。
安心で安全であるべき家の中が不安定ですので家族の協力が必要になります。(協力が難しい場合は、できる人だけでも大丈夫です)
7.発達障がいなどの障がい特性
- 自閉症スペクトラム障がい(ASD)
- 知的障がい
- 注意欠如多動症(ADHD)
- 学習障がい(LD)
- 発達性協調運動障害(DCD)
- ダウン症
といった障がい特性によって「わがまま」さや「癇癪」が多くなります。
障がいといっても心理的欲求の解放と行動練習していけば、変化が必ず生まれます。
療育やSST、必要に応じてカウンセリングも必要な対応になります。
8.学業のストレス
園や学校のお勉強のストレスによって、問題行動が家で増えてしまうことがあります。
特に宿題を行う場面で問題が出るケースも多いですね。
問題の難しさについていけなかったり、勉強が苦手になったり、負けてしまうことやできない自分に対するストレスも二重にかかり、怒りが暴発してしまうことがあります。
特に変化の大きい小学校入ってからと小学校4年生くらいには注意が必要です。
一緒に学ぶ機会を作ったり、療育や塾など外部機関に任せる事も大切です。
ただあまりにもクラスについていけていない場合は、支援級などクラス替えも検討が必要な場合もあります。(安易に変えないほうがいい場合もある)
9.時期によるものの影響
- 幼児期の反抗期である2歳児~3歳児(発達に遅れがあれば遅れてくる)
- 小学校時代の反抗期
- 思春期の反抗期(期間が長い)
といった時期的な問題があります。
反抗期は自我を確立するために必要な場合もありますので「うまく出させてあげる」ことも必要です。
少しずつ大人扱いをしてあげる必要がありますが、ダメなところはダメであると指摘することも大切です。
一緒に話し合えるならそれでもいいでしょう。
少し距離を取って、自分の時間を与える必要もあります。
ただ近年は子供への理解が進んでいることから「反抗期のない子供」も多くいるようですね。
4つの方法から考える「家でわがままや癇癪が多いお子様」への対応
当施設では下記4つの方法から相談されるクライアントに最適な手段を組み合わせて、改善のサポートを行っております。
①カウンセリングによる対応
カウンセリングでは、まずは保護者に状況の確認をさせていただく場合が多いです。
そのうえで、
- 何が理由や原因になっているか
- どのように要因が絡み合っているか
- 自分の外の問題と中の問題はそれぞれどうか
- 発散はできているか
- お子さまが求めているものは何か
などを一緒に話しながら、理解を深めます。
理由はひとつだけではなく、複雑に絡み合っていることも多くあります。
それらの原因や要因がわかってきたらそれを解消するように進んでいきます。
ある程度の認知的な成長が進んでいるお子様であれば児童に対するカウンセリングが非常に有効な場合があります。
カウンセラーと信頼関係を作り、自分のうちの気持ちを話し、受容され、解決策を一緒に考えていく、時に一緒に発散することもできる機会はなかなか他では作れないものがあります。
必要に応じて遊びながら変化を促す箱庭療法やプレイセラピーなども用います。
過剰適応のタイプはこのカウンセリングが最も大切な基本的なアプローチになります。
②SSTによる対応
SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)では、どのようにすれば他者とよい関係を結べるか、その問題や大変さが改善するかを学ぶことができます。ただ学ぶだけでなく、学んだ後は実践形式で体験していきます。
自分の感情を出せない問題やお友達との関係性で問題を抱える場合では、このSSTを活用する場合があります。
どのように自分を出し、かかわればいいかを実践的に学ぶことができます。
それも理解者であるカウンセラーが行うので安心できる土壌で練習できます。
③ストレスマネジメントによる対応
ストレスマネジメントでは、生きづらい原因となるストレスを特定して、ストレスをできるだけ減らしていきます。またストレスからの回復力が弱いケースでは、それを強めるためのセッションや資源を活用します。捉え方を変えていくことによってストレスの強度が変わったり、発散する方法が増えるとストレス許容量が変化したりします。
負の連鎖になっている思考法を変化させることで、ストレスがたまった時の回復力や脱却の仕方を身につけることができます。
また自分独自の発散方法を見つけて、それを実践していくことでストレス処理を身につけていきます。
④療育的アプローチ
療育では、
- 指示を聞くトレーニング
- 自分の意見を言うトレーニング
- 我慢や妥協のトレーニング
- うまく負ける練習
- 精神的自立を促すトレーニング
- 過剰適応をやめるトレーニング
- 母子分離
- お勉強のコツを学ぶ
- 眼球トレーニング(ヴィジョントレーニング)
などを学び、スキル獲得を目指すことができます。
そのお子様の問題点や課題点をそのまま「課題」にしてトレーニングにすることができます。
どのアプローチで進めるかは一緒に考えていきましょう。
名古屋こどもカウンセリングとSST教室のご案内
当教室では、直接面談して行う方法と電話やオンラインで行う方法の二つからご相談を承っております。
初回10分無料相談がお電話で行えます。(直接お電話してもらっていいですが、お電話が取れないときもありますのでご了承ください)
これはミスマッチ防止のため、本当に求めているものと合致できるかを判断するものとしてサービスとして行っています。
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