しらいし先生
しらいし先生

こんにちは、名古屋こどもカウンセリングとSST教室のしらいしです。

お母さんにイライラする、ついついひどいことを言ってしまう、手が出てしまうなどお母さんに当たってしまうお子様とご家族に向けて、その問題に対応するカウンセリングやSSTについて書いていきたいと思います。

※かんじがよめないおこさまやおんせいでききたいばあいは、こちらのぶんしょうをクリックしてください。(音声読み上げ案内)

お母さんに当たってしまう


  • お母さんに手が出てしまう(暴力)
  • お母さんにいやみや暴言を吐いてしまう
  • 見ているだけでイライラする
  • 何か言われるとカチンとくる

子供さんがこのようにお母さんに当たってしまうことがあります。

それが一時的でお母さんの許容範囲であればいいのですが、それを超えて落ち込んでしまったり、喧嘩が絶えなくなったり、大変な時期に突入してしまうこともあります。

早いと幼児や小学生のころからこの「当たり」が出てくることもありますが、中学生や高校生ぐらいから出る子も多いように感じます。

「家庭内暴力」という言葉がありますが、お子様から親に対する暴力もこれにあたります。

お父さんには出ないのに(少ないのに)なぜお母さんにだけこのようなイライラがでたり、当たってしまうのでしょうか?

お母さんに当たってしまう心理と理由


その家族とその関係性のなかだけにある特殊な理由や原因がある場合もありますが、

  • ストレスのはけぐちになっている
  • 暴言・暴力がコミュニケーションの形になってしまった
  • 子供のストレスの許容量が超えてきた
  • 実は自立心が芽生えようとしている
  • 好きなものをとられたり、とめられる
  • 外で過剰に適応して疲れてしまう(外でいい子)
  • 親が子供の行動を決めすぎていた(聞き分けがよかった)
  • 過保護や過干渉がある
  • 不満を言えない(言葉でうまく伝えられない)
  • 甘えたい(甘えたいときに甘えられなかったを含む)
  • 自分の強さを取り戻したい、強調したい
  • 愛着の問題
  • 障害や精神疾患
  • 家族が〇〇してから変わった

など様々な理由があります。

1.ストレスのはけぐちになっている

ストレスは関係性の中で強いほうから弱いほうへ流れやすいといわれています。

外の世界でうまくだせないストレスは、家の中ででやすくなります。

また自分より弱い存在や優しくしてくれる人にストレスを出したくなってしまいます。

2.暴言・暴力がコミュニケーションの形になってしまった

反抗期やイヤイヤ期に暴言や暴力がでるようになって、それから続いてしまっているというケースでは、それがコミュニケーションの形となって癖づいてしまっているかもしれません。

癖なので「本当はしたかったコミュニケーションや甘えの形」を行えるようにしていくことや適切な関りを学びなおして繰り返す必要性があります。

3.子供のストレスの許容量が超えてきた

学校や勉強、人間関係などお子様のストレス許容量を超えてしまうと、イライラしたり、お母さんに当たってしまうことがあります。

これを感じたお母さんが受け止めてあげようとして良い方向に行く場合もあれば、2のように癖づいたコミュニケーションになる場合もあります。根本的な原因に対処しないといけない場合もあります。(過剰適応ならそれを改善する、など)

4.実は自立心が芽生えようとしている

親に反抗する反抗期は、昔から良くないもののように捉えられてきた側面がありますが、心理的には「自立心の芽生え」という捉えかたもあり、うまく反抗させてあげることが大切になります。

この反抗期でもお母さんに当たってしまうことがあります。

ただ当たり方は、手が出るなら言葉に変えていくほうがいいでしょう。それでも手が出るならお母さんではなく、対象の物を決めてそれにあたるように約束するのもいいでしょう。

5.好きなものをとられたり、とめられる

ゲームやYOUTUBEの依存や中毒が問題視され始めています。

その中毒性や依存度が高いほど、それを止められたときに怒りの衝動が心に走り、暴言や暴力に変換されることがあります。

うまく時間を決めてできるようになるまでスモールステップで練習していかないといけません。

簡単ではないので少しずつ積み重ねが大切です。

6.外で過剰に適応して疲れてしまう(外でいい子・聞き分けがよい)

そとでいい子をしてしまう場合もお母さんに当たってしまう子に多いといわれています。

外で発散がうまくできず、ため込むことも多いので出しやすいお母さんについ過激に出てしまうのです。

これもお母さんが受け止めてあげようとして良い方向に行く場合もあれば、2のように癖づいたコミュニケーションになる場合もあります。根本的な原因に対処しないといけない場合もあります。

聞き分けがよくて親の言うことをその通り聞いてきたお子様もあるときになってこの当たりが出てくることもあります。

7.過保護や過干渉がある

過保護や過干渉でもお母さんに当たることにつながることがあります。

子供がその保護や干渉が嫌でもそれを言えなかったり、それにどうしても甘んじてしまう自分が嫌でお母さんに当たる場合もあります。

愛着や関係性の中で生まれるものなので一概には言えませんが、「ちょうどよい関係性と関り」にしていくことが大切です。

8.不満を言えない(言葉でうまく伝えられない)

外で嫌だったことを「嫌だった」といえなかったり、不満を出せない場合、それは出しやすい家庭に排出されます。

外で言えるようになるには、当教室で行っているSSTなどでうまく練習できる機会があればいいですね。

9.甘えたい(甘えたいときに甘えられなかったを含む)と愛着

甘えたいときに甘えられなかったり、甘えたい気持ちを恥じて押し隠している場合にあたりが強くなることがあります。

子供の愛着である絆がうまく結べていなかったり、欲しい愛情やかかわりが持てなかった場合、今からでも遅くありませんのでそのかかわりを作ってあげることで徐々に解消していきます。

10.自分の強さを取り戻したい、強調したい

「自分はもっとできるのに!!」と外でうまくいかず、自分の力が承認されない時にも家でのあたりが強くなる場合があります。

親の強さを征服、支配して自分の強さを誇示したいといった見えない心情で行われている「当たり」もあるのです。

11.障害や精神疾患によるもの

発達障害やパーソナリティ障害、反社会的要素などでもこの当たりは強くなる場合があります。

それに対応した適切な対応を学び、お子様は治療や学習の機会を得ることが大切です。

12.家族によるもの

  • お母さんが〇〇してからそれから変わった
  • お父さんが〇〇してからそれから変わった
  • 兄弟姉妹が〇〇してからそれから変わった
  • 家族が変わってから変わった
  • あの出来事(事件)以来変わった
  • あの喧嘩(態度)をとられて変わった

などの出来事によってお子様の様子が変わることがあります。

何かが引っ掛かっている場合は、そのひっかかりを取ってあげることも考えていきます。

2つの罪悪感


お母さんに当たってしまうことに関して、

  1. 子供側の罪悪感
  2. お母さん側の罪悪感

の二つがあります。

①では、お母さんに当たってしまって申し訳ないと罪悪感に悩む場合があります。

その悩みによって負担するストレスが増え、余計にイライラしやすくなってしまう悪循環になることがあります。

②のお母さん側も

  • 苦労させていることに対して
  • わたしがかわってあげられないことに対して
  • 難しい特性を持たせるような育て方をして
  • 産んでしまって
  • 障害や病気があることに対して

罪悪感を感じることがあります。

自分のおなかから生まれた感覚は、お父さんが感じる世界とは異なり、お子様の事を必要以上に「重く受け止めてしまう」ことにつながってしまうこともあります。またつながりの深さから子供の苦しみに共鳴しやすくなるケースもあります。

罪悪感があるから余計に心配で、子供に過保護、過干渉になったり、子供の行動や気持ちを受け止めすぎて余計に「当たり」を長引かせてしまうこともあります。

これらの二つの罪悪感もうまく解消したり、適切に扱えるようにしていく必要があります。

4つの方法から考える「お母さんに当たってしまう」ことへの対応


当施設では下記4つの方法から相談されるクライアントに最適な手段を組み合わせて、改善のサポートを行っております。

①カウンセリングによる対応

カウンセリングでは、お子様や保護者さまと話す中で、苦しい気持ちが癒えたり、問題の重要な原因やポイントが明らかになっていきます。

会話だけでその問題がクリアできるものであればそのまま進んでいきますが、トレーニングや環境設定などが必要であればそちらへ移っていきます。

子供さんの奥にある本当の気持ち、お母さんにある言えなかった想い、などにアプローチできます。

過剰適応はどれくらいでちょうどよいのか、不満がいるようになるにはまず誰に言うべきか、一緒に考えていきます。

はけ口になっている場合は、カウンセリング自体をはけ口にしたり、家でどうすればより適切なはけ口ができるか考えていきます。

関りのもんだいがあれば、お母さんと一緒に受けてもらうことも大切です。

発達特性、性格の特性などでは、どこを改善して、どこを受け入れて活かしていくかも一緒に考えていきます。

カウンセリングでは当人が理解される経験ができる方法ですのでおそらく対応の中心になってくると思います。愛着特性のある場合は、特別な対応が必要になります。

②SSTによる対応

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)では、どのようにすれば他者とよい関係を結べるか、その問題や大変さが改善するかを学ぶことができます。ただ学ぶだけでなく、学んだ後は実践形式で体験していきます。人数がそろえば集団でも行うことができますし、外部環境に出て練習することもできます。

人に相談できなければ、それを外部の世界で対応できるように考えていきます。

不満をいうことに難しさがあれば、その練習を実践形式で先生と行います。慣れてくると実生活でも使いやすくなります。

③ストレスマネジメントによる対応

ストレスマネジメントでは、生きづらい原因となるストレスを特定して、ストレスをできるだけ減らしていきます。またストレスからの回復力が弱いケースでは、それを強めるためのセッションや資源を活用します。捉え方を変えていくことによってストレスの強度が変わったり、発散する方法が増えるとストレス許容量が変化したりします。

原因のなかにストレス耐性や回復力などに問題を抱えている場合は、それを強くするための学習と練習を行います。

ストレスでいっぱいなお子様も多いので、その発散や回復法、貯めにくくする捉え方などを一緒に考えていきます。

④療育による対応

幼児などの療育では、お母さんに当たってしまう原因に対する課題を設定したり、必要に応じて

  • 自分の気持ちや要求を伝える練習
  • お母さんとのかかわり練習
  • 甘える練習
  • お友達のかかわり練習
  • 不器用さであれば、手の巧緻性のトレーニングを
  • 眼球が動きにくいのであればビジョントレーニングを
  • 運動がうまくいかないのであれば運動療育やボディーイメージを
  • うまくできないことへのストレス負荷のもんだいがあれば受け流す妥協トレーニングを
  • 一緒に遊ぶのが苦手な場合は、遊戯療法を
  • 意見が言いにくい場合はディスカッションレッスンを
  • 会話がうまくできないなら会話の練習を

などそれに付随するスキルに関して改善するように課題を設定していきます。

しらいし先生
しらいし先生

どのアプローチで進めるかは話しながら一緒に決めていきましょう!

お問い合わせ


お問い合わせは下記のフォームにご記入いただき、最後に送信ボタンをクリックしてください。

基本的には、メールでの返信になりますが、直近のご予約やメールでの送信や返信が来なかった場合にお電話でご連絡させていただく場合がございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。