しらいし先生
しらいし先生

こんにちは、名古屋こどもカウンセリングとSST教室のしらいしです。

子供の障がいを受け入れる「障がい受容」についてこの記事では書いていきたいと思います。

※かんじがよめないおこさまやおんせいでききたいばあいは、こちらのぶんしょうをクリックしてください。(音声読み上げ案内)

障がい受容とは何か?


障がい受容(英語:Disability Acceptance)とは、障がいを持つことを受け入れて生きていくことにつながる心理的技能です。

受け入れるということは単純なようで独特の難しさを持っています。

また「障がい受容」と一言で言ってもその意味は人によって異なったり、捉え方が違う場合があります。

そしてどこまで受け入れるかどうかも人によって違います。

そのため過去に定義されてきた見解を紹介してみます。

あきらめでも居直りでもなく,障害に対する価値観(感)の転換であり,障害を持つことが自己
の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得をつうじて,恥の意識や劣等感を克
服し,積極的な生活態度に転ずること」で「障害を個性の一部として認める」こと

上田 敏

あきらめではないし、居直りでもない、人間的な価値が低いわけでもない、一つの個性だというこの主張は一番代表されるような定義づけのように思います。

とても積極的で熱くなる感じですが、このようなポジティブ思考的な捉え方が苦手な方がいてもいいと思います。

障害を持ちながら,障害にこだわることなく,社会の中で普通の人間として充実感を持っていきていること

梶原敏夫, 高橋久美子

充実感を大切にしていくと受容のプロセスが進みそうですね。

子供に起きる障がいとは?

子供に起きる障がいには、

  • ASD,ADHD、LDなどの発達障がい
  • 知的障がい
  • 精神障がい
  • 身体障がい
  • ダウン症など
  • 吃音やトゥレット症候群
  • 脳性まひなどによる障がい

などいろいろな障がいがあります。

上記以外にも「HSP(HSC)」傾向を持つお子様も人によっては障がいとしてとらえる人もいれば、個性としてとらえる人もいます。

HSP(Highly Sensitive Personの略名)とは、非常に繊細で、感受性が強く、敏感な気質をもった人という意味で、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士の研究によって提唱された概念です。

子供の場合は、Highly Sensitive Childと表記し、一般的に「HSC」と呼ばれています。

障がい受容を進めるにあたってその障がいへの理解を深めることも大事ですが、「障がい」という言葉を理解しなければなりません。

そもそも「障がい」という言葉は何か?

障害者権利条約というものをご存じでしょうか?

2006年の国連総会において採択され、2020年現在日本を含む182カ国が批准しているあらゆる障害者の尊厳と権利を保障するための条約である。

ここでいう「あらゆる障害者」とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害、その他の心身の機能の障害などを指します。

この条約の一番重要な点は、障害は個人ではなく社会にあるという視点を強調しているところです。

社会で生きる上でそれが「障がい」になっているので社会側の問題が大きな要素になっているということです。

障害がある子供や大人を差別や偏見から守り、社会的理解や配慮がなされ、社会へ参加できるようにしていくために大切になる考え方です。

また「われわれのことを我々抜きで勝手に決めるな!(英語: Nothing about us without us!)と言うスローガンを掲げ、障害者の視点から作られた条約であることも特徴的です。

条約では、

・当事者の自尊心と自己決定権の重視
・不可侵性の保護(人権がおかされないこと)
・雇用や医療、生活での差別禁止
・社会からの隔離や孤立の防止
・個性や違い、多様性の理解と尊重を促す
・選挙権や社会参加の権利
・インクルージョン(誰にでも参画や貢献するチャンスがあり、平等な機会があること)
・医学的実験からの保護やインフォームドコンセントの権利(わかりやすい説明と合意があること)
・社会全体の偏見や不理解への働きかけや政策の強調
・生きやすさや利用しやすさを考えたアクセシビリティ
・機会の平等

などの重要性を強調されています。

障害者自身の努力のみならず、障害者以外の者や社会全体が理解し、配慮を行えるようにしようとすることがとても重要になります。

多様な個性や特性を持つ人たちがそれぞれの生きやすさを感じられる社会を実現しようと動き出していますね。

3つの基本的な障がい受容モデル


ここでは、障がい受容を行う上で基本となる考え方を紹介したいと思います。

①慢性的悲哀モデル

慢性的な悲しみ(哀しみ)は正常な反応であり、その悲しみを持つ自分を受け入れる考え方です。(支援者も同様に受け入れる)

肯定的に捉えられなくていいし、前向きになれない時があってもいい。

重い腰をあげられなくても、再起できなくてもいい。

表に感情が出せればそれでいい。

とっても温かくなるような考え方ですね。

②段階的モデル

①所外があることを知って「ショック」を受ける段階

②「そんなわけない」「何かの間違いだ」と否認しようとする段階

③理不尽さに怒りと悲しみを感じる感情的な段階

④少しずつ受け入れ、前向きに努力していく時期

⑤障害を受け入れ、価値観を転換し、生きがいを感じられる再起の時期

このような5つの時期に分けられて進む考え方ですね。

ただこれらが同時多発的に感じる時期もあります。

前向きに進んでいる時期でもやはり「なんでうちの子が?」と思うこともありますし、感情的になることもあるでしょう。

③らせん型モデル

こどもの障害に対して

  • ポジティブな気持ちや捉え方
  • ネガティブな気持ちや捉え方

の両方の気持ちがらせんのように絡み合ってそんざいしているという考え方です。

言葉を変えれば、

  • 肯定的な気持ちや捉え方
  • 否定的な気持ちや捉え方

が存在しているということです。

その両方があって当たり前なんだよ、という考え方です。

お母さんとお父さんの障がい受容


お子様に対する「障がい受容」が少しでも理解できますように記事を書いていきました。

人によって障がい受容に時間がかかる人もいますし、そもそも難しくてもいいのではないかという視点も学びました。

また障がい受容そのものも人によって受容の解釈が違うかもしれません。

自分なりの解釈や捉え方でもいいと思います。

ただこの障がい受容で大切になるのが、受容の仕方で子供さんへの影響が変化することがあります。

  • 早く気づけたぶんだけ早くから専門的支援が受けられる
  • 受容できれば子供に否定的な感情や対応が減るのではないか
  • 子供の特性や障がいに沿った居場所を提供できる
  • 家族の中での幸福感や充実感が変化する
  • お子様が受け入れられてうれしそう
  • 自分も家族も精神的に楽になる

などいろいろあるかもしれません。

意外と受容できていった先のほうが明るい日差しを感じられる方が多くいます。

受け入れてしまってはダメだ、という考え方もいるでしょう。

それが効果をもたらす時もあります。

受容は時間がかかるものです。

そして受容は揺れ動きながら時間をかけて進んでいきます。

焦らなくてもいい場合が多くあります。

しかし一気に受容が進む場合もあります。

当教室では、お父さんお母さん、子供さん自身の障がい受容が円滑に進めるようにカウンセリングを使って支援しています。

障がい受容を進めるカウンセリング


カウンセリングでは、まずは信頼関係(ラポール)を築くことが大切です。

障がい受容はうまくできなくてもいいですし、とても人には言えない感情を持っていたとしてもいいのです。

そういったところをカウンセラーに話しながら受け入れてもらうことが大切です。

そうやって自分の本音の気持ちを出しながら気持ちが癒える部分とそうではない部分が出てくると思います。

少し心が軽くなってきたら受容を進めることができる時期になるかもしれません。

それを決めるのは自然な会話の流れもありますし、お互いで決める場合もあります。

障がい受容といってもいろいろな考え方があります。

そのなかでどのような受容をしたいのか?

どのようになりたいか?

スモールステップでひとつずつ丁寧に進んでいきます。

途中で止まっても大丈夫です。

今はその段階ということでもいいのです。

全然進まなくてもいい時だってあります。

なにより自分の本音をはじめて人に言った、という方も多くいます。

こんなひどい気持ちを受け入れてくれてと、涙される方もいます。

それほど苦しく、葛藤する毎日を抱えている方が多くいます。

少し勇気がいりますが、やってよかったといってもらえるセッションにしていきたいと思います。

名古屋こどもカウンセリングとSST教室のご案内


当教室では、直接面談して行う方法と電話やオンラインで行う方法の二つからご相談を承っております。

初回10分無料相談がお電話で行えます。(直接お電話してもらっていいですが、お電話が取れないときもありますのでご了承ください)

これはミスマッチ防止のため、本当に求めているものと合致できるかを判断するものとしてサービスとして行っています。

基本的なご利用料金は「個別セッション(約55分フィードバック含む)6000円」になります。

面談できる場所は2025年4月に開室予定です。

お問い合わせ


お問い合わせは下記のフォームにご記入いただき、最後に送信ボタンをクリックしてください。

基本的には、メールでの返信になりますが、直近のご予約やメールでの送信や返信が来なかった場合にお電話でご連絡させていただく場合がございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。