
こんにちは、名古屋こどもカウンセリングとSST教室のしらいしです。
この記事では「子供のSST(ソーシャルスキルトレーニング)」について様々な視点からご紹介できたらと思います。
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「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」とは何か?
SST(英語:Social Skills Training)とは、他者との関りに問題や大変さを抱えている方にどのようにすればよい関係を結べるかを学び、改善するためにトレーニングを行うものです。
もっと広い意味では「社会で必要になるスキル」を獲得するためのトレーニングになります。
必要なスキルを身につけるためにも何が問題であるか、必要であるかを明らかにする必要性があります。
SSTでは、
- 相手に注意を向ける
- 相手の状態を理解する
- 自分の状態を理解する
- 社会のなかの常識的なスキル
- 人間関係の必要なスキル
- 会話やコミュニケーションのスキル
- 相手に合わせていくスキル
- 一緒に遊ぶスキル
- 自分の感情や気持ちををコントロールするスキル
- 指示を聞いたり、集団行動ができるようなスキル
- 妥協や助けを求めるスキル
- 規則やルール、モラルを守る
- 日本における良い行動というモデル
- 発達特性や障害でうまくできなかったスキル
などを学び、実際にスキルとして活用できるように実践していきます。
学術的には、
- ルール理解・遵守スキル(ルールを理解して守る)
- 役割遂行スキル(役割を理解して実行できる)
- 状況理解スキル(状況を理解して、その場に合った適切な行動を行う)
- 聞き取りスキル(相手に注目して話を理解する)
- 表現スキル(このパートは奥が深く、突き詰めると誰でもより豊かにできる)
- 質問・回答スキル(会話のやり取りやキャッチボール)
- 話し合いスキル(意見開示・討論・結論をグループで出す)
- 会話スキル(相手の要望を加味した会話)
- 表現認知スキル(表情の読み取り)
- ジェスチャースキル(ジェスチャーを読み取る、活用する)
- 身体感覚スキル(相手の動きに合わせる)
- 自己感情理解スキル(じぶんのきもちを理解する、感情の言語化)
- 他者感情理解スキル(相手のきもちを理解する、自分だったらという仮定)
- 共感スキル(相手の気持ちを感じる、尊重する)
- 自己認知スキル(自分という人間のさまざまな理解)
- 他者認知スキル(相手の好みや嫌いなこと、関心に注目できる)
- 自己ー他者認知スキル(相手と自分の共通点や相違点の理解)
などがあります。
同じような課題を持った小集団や集団で行うSSTが基本ですが、当教室は先生と一対一で学ぶ形式でも行っています。
要するに必要なスキルの獲得に適したSSTの形で提供されることが多いと思います。
座学で学ぶだけでなく、
- ロールプレイ(実際に場面を想定して疑似体験をする)
- ディスカッション(1つのテーマについて話し合う)
- ゲーム(実際に遊びながら学んでいく)
といった実戦形式で練習を行うことができるように設計されています。
SSTの基本的な流れとしては、
- 挨拶と自己紹介
- 今回の目的とルール
- 今回のテーマと適切な行動はなえやったほうがいいかを教える(教示)
- 適切な行動をみてどこがよかったか、悪かったかを学ぶ(モデリング)
- 実戦練習(ロールプレイもしくはプレイ、ディスカッション)
- 良かったところや改善点の気づき(フィードバック)→再度実践練習
- 宿題を決めて実際の生活で活用する
- 次回実際やってみてどうだったかを発表
といった形になります。(堅苦しくない雰囲気作りも大事です)
悪かったところばかりに注目するのではなく、できたところや良かったところをたくさん見ていくことも重要です。
またすぐにスキルが習得できなくても、挑戦したことに意義を持って、少しずつできたところを見ていきます。
そのためにもSSTの指導員から「適切なフィードバック」が得られることが大切です。

良いとこに目を向ける習慣も少しずつ身についてきますよ。
集団適応と友人関係成立
SSTを2つに大きく分類すると
①集団生活についていけない(集団適応への困難さ)
②友達とうまく関われない(友人関係成立の困難さ)
になります。
どちらも
- 自信がなくなる
- 意欲がなくなる
- 孤立感を感じる
- その場に行きたくなくなる
- 苦手意識を持ってしまう
などの二次的な症状を生み、集団やお友達とのかかわりが余計に困難になってしまうケースも少なくありません。
SSTは、そのような背景を考慮して進めていく必要性があります。
ケースによってはカウンセリングと並行したり、SSTの中に心理的な気づきを得るような心理教育を組み込むことも必要になります。
また
- 学力のつまづき
- 言葉のつまづき
- 注意のつまづき
- 情緒のつまづき
- 社会性のつまづき
- 捉え方のかたより
- 身体的な影響
などの影響によって集団やお友達とのかかわりが難しくなっている場合は、そのつまづきや問題点へのアプローチを行うことが大切です。
SSTで一番大切なところは「成功体験」
SSTで最も大切なことは、
「成功体験をたくさん積むこと」
です。
日常生活のソーシャルスキル場面でたくさんの失敗や困難さ、苦しみを感じているケースが多く、苦手意識もうまれているところからスタートということも少なくありません。
できるだけたくさん成功する
うまくできた!!をたくさん感じる
自分もできるかも!という気持ちが出る
実際にできてうれしい
「なんで前はあんなにできなかったんだろう」
こんな流れがたくさんできるようにSSTのトレーニングを組んでいきます。
逆にいうと、「できるだけ失敗しない仕組み」が必要であるともいえます。
そのためには、お子様に適切な課題の設定を行わなければなりません。
このあたりがトレーナーの力量に関わってきます。
どこまでお子様のソーシャルスキルが開花するかはトレーニング次第というところもありますが、
①お子様が実際の場面で活用する
②お子様のソーシャル(社会性)への興味
の影響を受けます。
この2領域に対してもアプローチしていくことが実はSSTの重要なファクターでもあります。
子供のSST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?
「子供」に対するSST(ソーシャルスキルトレーニング)と大人に対するものでは何が違うのでしょう?
同じものも多くありますが、子供の世界であると「学校」や「遊び」、大人であれば「会社」や「社会」に適応するためのスキル獲得がメインになっていきます。
「人間関係」や「コミュニケーション」、「ルールと指示を聞く」といった根本は同じです。
また「認知能力(にんちのうりょく)」が異なりますので、子供と大人ではできる内容も異なります。
子供のSSTソーシャルスキルでは、
- 子供の好きなものを使う(幼児・小児の場合:おもちゃや遊具)
- 子供の理解力に合った方法を用いる(視覚提示や聴覚提示)
- 個別と集団は必要なスキルかどうかという視点だけではなく、子供の志向にもよる
- ファンタジーの活用(ファンタジー世界を持つ子供向け)
- 物語の活用(物語的思考をお持ちの子供向け)
- 発達特性やHSP、愛着特性、精神特性などの理解のもとに行うこと(問題を問題と認識できない特性もあるので)
- 認知機能のあるお子様は大人レベルのSSTが可能な場合もある
などを配慮して行うことが大切だと考えております。
しかしながらこどもの時に獲得しておいたら生きていくことが楽だっただろうな、と思うようなスキルは存在します。
そういった意味でいいますと大人と同じようなカリキュラムを当教室では組む場合もあります。
なにより「そのお子様」を深く理解することが最も大切です。
そのお子様の「今」に必要な課題を創り、楽しみながらトレーニングしてどんどん自信をつけていってほしいと思います。
どんな子供が受けるといいの?
当教室でSSTを受けるにあたって特に規定はありません。
- 集団の適応で困っている
- お友達の関係で困っている
- 家のなかでの関係性で困っている
- ソーシャルスキルトレーニングに興味がある
- 障がいがあってソーシャルスキルに課題がある
- グレーゾーンでSSTが必要そうな感じがする
- 子供の社会性を高めるために行いたい
などさまざまなケースでご活用いただけます。
保護者の方の理解と大人のケース
お子様の問題ですが、保護者の皆様の理解と適切な促しがあればなおさらよくなることも増えていきます。
そういった意味で保護者の方に対するアドバイスやカウンセリングも同時進行で必要になる場合も少なくありません。
- 環境設定(その適切な行動が促されやすい場の設定)
- 促し(その適切な行動を得るための補助)
- プロンプト(ヒントを与える)
- あえて失敗例をみせる
- 相手が褒められたい褒められ方で褒める
- 思い出させてあげる
といった内容のサポートが必要な場合があります。
お子様と一緒に理解して進めていくことで目標のスキルの獲得に早くつながっていきます。
また保護者さまや大人のSSTもご要望に応じて行っておりますので詳しくはお聞きください。

できることからやっていくと景色が少しずつ変わっていきます
SSTから広がっていく
最初はSSTだったけど、カウンセリングを今は行っている、プレイセラピーをやっている、といったような広がりが持てるのも当教室の特徴でもあります。
そのお子様の問題の改善や必要なスキルの獲得に必ずしも「SST」だけが答えではない場合があります。
技法にお子様を当てはめるのではなく、お子様を中心にして何が必要かを考えていくことが大切だと考えております。
発達検査や心理検査の結果などもあれば参考になりますのでお見せいただけたらと思います。
名古屋こどもカウンセリングとSST教室のご案内
当教室では、直接面談して行う方法と電話やオンラインで行う方法の二つからご相談を承っております。
初回10分無料相談がお電話で行えます。(直接お電話してもらっていいですが、お電話が取れないときもありますのでご了承ください)
これはミスマッチ防止のため、本当に求めているものと合致できるかを判断するものとしてサービスとして行っています。
基本的なご利用料金は1対1の「個別セッション(約55分フィードバック含む)6000円」になります。
平日夕方や週末、長期休みなどで小集団(2~5名ほど、金額4000円)も行う予定です。
面談できる場所は、
〒466‐0856
名古屋市昭和区川名町6丁目26の1 加和奈ハイツ 2階
建物前に無料駐車場1台有り
地下鉄鶴舞線 川名駅徒歩6分
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■参考文献
ソーシャルスキルトレーニング 小貫悟・名越斉子・三和彩 著