新学期に対する気持ちは、こどもによって違うかもしれません。
新しいクラスはどんな感じかな?
どんな人がいるかな?
どんなふうになっていくかな?
あれは大丈夫かな?
わくわくする子もいればドキドキする子も、そして両方感じる子もいます。
また今年度から新しい学校になる方もいます。
先生も関わるクラスメイトも変化します。
そんな時期に出やすい「新学期の不安」
ドキドキすることが決して悪いというものではありませんが、登校渋りや不登校につながるような強い不安や嫌悪感、恐怖などについては適切に理解、支援、サポートなどが必要になる場合があります。
そういった場合の不安に対してできることとカウンセリングについて書いていきたいと思います。
なぜ新学期に「不安」が強まるのでしょうか?
国内外の研究によると
新学期の不安は、
「未知への恐怖」
「社会的適応へのプレッシャー」
を感じるためにその不安を感じるといわれています。
ようするに「不確実なことに対する本人の耐性」により影響されます。
何が起こるかわからない
新しい場所や人
そういったわからないことにどれくらい対応できるか?しようと思えるか?
といった耐性によって不安が出やすいかどうかが影響されるということです。
ですのでそういったことが苦手なお子さんは不安と緊張を感じます。
また日本では独特の同調圧力が今もあるため、違うことへの理解や尊重が他の先進国より遅れている部分もあるかもしれません。
授業でも一緒に同じペースで
一人だけ違っていてはだめ(ずるい)
こうしなければいけない
などの概念が
以前よりは少し寛容になってきているものの
いろいろな多様な個性を尊重した教育や学校制度になることはまだ難しいところもあります。(学校側もできる限りの努力はされております)
そういった意味でも不安が出やすいお子様もいます。
安心感や安全感を学校に感じにくい子もいるのです。
こういったベースが新学期の不安にはあるものですが、不安は他にもあります。
つぎにより具体的な不安について説明していきます。
新学期の不安にはどんなものがあるか?
新学期の不安には大きく分けて
- 対人関係(社会性)
- 学校生活と環境
- 学習と活動
- 身体的・感覚的要素
の4つがあります。
新学期の不安といっても「大きな一つの不安」という単体の不安もありますが、多くは以下のような複数の不安が入り混じっていることがあります。
【対人関係(社会性)】
- クラス替えによる友人関係のリセット:仲の良い子と同じクラスになれるか、嫌いな苦手なこと一緒にならないか、孤立しないかという気になるお子さんが多くいます。
- 新しい担任の先生との相性:「怖い先生か」「自分を理解してくれるか」「強く怒らないか」という予測不能な存在への不安。
- 新しい友達作り(コミュニケーション):友達ができるか、自分から話しかけられるか、グループに入れるかといった不安。
- いじめやトラブルの再発・発生 :過去にトラブルがあった場合、新しい環境でターゲットにならないかという警戒が生まれます。
- 周囲の視線や評価(自己意識):「変なやつだと思われないか」「浮いてしまわないか」という思春期や子供時代特有の不安。
【学校生活・環境】
- 分離不安(保護者と離れること):特に低学年や園児に多く、安全基地から離れることへの根本的な恐怖や不安。
- 生活リズムの変化(早起き・登校):長期休暇中の不規則な生活から、決まった時間に登校することへの身体的なプレッシャー。
- 新しい教室や校舎の構造:「新しい教室への恥ずかしい気持ち」「場所がわからない」といった物理的な不慣れさによる不安。
- 校則や新しいルールの遵守:「うっかりルールを破って怒られたらどうしよう」という規範意識からくる緊張です。怒られるのが苦手なお子さんも増えてきています。
- 通学路の安全や登校手段:新しい通学路での事故や、電車・バスの利用に対する心理的ハードルです。
【学習・活動】
- 授業内容の難化: 「勉強についていけなくなるのではないか」という学業不振への予期不安。
- 宿題や提出物の増加 :やるべきタスクが管理しきれなくなることへの負担感。
- 人前での発表(プレゼンテーション) :自己紹介や音読など、注目を浴びる場面に対する不安や怖さ、恥じらい、苦手意識。
- 部活動や委員会選び:新しいコミュニティに適応できるか、上下関係が厳しくないかという不安。
- 体育や行事などの身体的活動 :運動能力へのコンプレックスや、集団行動への苦手意識。
【身体的・感覚的要因】
- イレギュラー対応: 新しいルールや関係、感覚に適応する大変さやストレス。
- 怒られること・失敗や指摘への過敏さ: 指摘されることや失敗することへの恐怖と新しい環境での反応への予期不安。
- 給食(完食指導や苦手な食べ物): 会食恐怖や偏食、アレルギー対応など、食事の場に伴うプレッシャー。
- 身体測定や健康診断: 成長の差を他人と比較されることや、身体に見られる・触れられることへの抵抗感。
- 感覚過敏(騒音・人混み): 新しいクラスの騒がしさや、大勢の人が集まる空間への感覚的な不快感。
- 着替えや制服の違和感: 新しい制服の肌触りや、着替えを他人に見られることへの心理的苦痛。
- トイレの使用(個室・共同利用) 「授業中に行きたくなったらどうしよう」という生理現象への不安や、設備の不慣れさ。
- 花粉症や春に影響する体調:体調の不良から不安がでることもあります。
- 実行機能の発達の遅れ:実行機能の発達の遅れにより新しいルーティンへの移行に抵抗感や難しさを感じることもあります。
心理的ストレスを感じやすいお子さんや発達特性があるお子さんの場合、うまく適応できるか?本人だけでなく保護者もドキドキしながら新学期に備えるケースもありますよね。(本人は何も気にしていないケースもあります)
現代の生活習慣と新学期の不安
近年、スマホやゲームなど利用することが増え、夜寝るのが遅くなる、疲労感が取れないなどの問題が起きています。
新学期の前には長期休みの「春休み」があります。
その春休みにゆったりと楽しい毎日を過ごすことはとても大切です。
しかしその時期に生活習慣が乱れていくことによって新学期での生活習慣との差異が強くなり、適応がより困難になることがあります。
休みの間も一定のリズムがあると良いというデータもありますが、多少乱れがあっても新学期の少し前くらいから新学期用の生活習慣に慣れておくことで問題も減ってくる傾向があります。
生活習慣 → 身体疲労 → 心理問題
という構図で心理的な問題が発生することもあります。
特に小学生は家庭環境が強く影響しやすい時期ともいわれていますので、ある程度の保護者の管理やルール作りも大切になります。
(参照:「児童・生徒の慢性的な心身の不調感・不快感の実態とその要因について:小・中学生の大規模調査から」瓜生 淑子)
新学期の不安と身体症状
新学期の不安が身体症状になるケースがあります。
脳の扁桃体が「未知の環境=危険」と察知すると
HPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎皮質軸)が活性化します。
これによりストレスホルモン(コルゾール)が分泌され、血圧や心拍数が上昇し、内臓の働きが抑制されます。
子供の場合、自分の感情を言語化する能力(メタ認知)が未発達なため
脳が感知したストレスがダイレクトに「痛み」や「不快感」として身体に投射されやすいのが特徴です。
不安は自律神経系を通じて、全身に多様なサインを送り、以下のような症状を感じることがあります。
| 系統 | 具体的な症状 | 心理的な背景 |
| 消化器系 | 腹痛、吐き気、下痢、便秘、食欲不振 | 「消化できない」ほどの不安や緊張 |
| 神経系 | 頭痛、めまい、立ちくらみ、チック | 脳の過覚醒、過剰な集中・緊張 |
| 睡眠系 | 入眠困難、中途覚醒、朝起きられない | 翌日の「未知の事態」への警戒 |
| 感覚・運動系 | 喉の違和感(ヒステリー球)、手足のしびれ | 言いたいことが言えない、強い抑圧 |
不安の扱い方と子供へのかかわり方
1. 子供本人の「不安」との付き合い方
子供自身が自分の不安を「敵」として排除するのではなく、「自分を守るための自然な反応」として受け入れられるよう促すことが大切です。
①感情に名前をつける 専門用語で外在化というのですが、「モヤモヤくん」など、不安に名前をつけて自分から切り離してみる手法です。「今、モヤモヤくんが暴れているな」と客観視することで、感情に飲み込まれにくくなります。⇒そのキャラをやっつける、うまく折り合いをつけるなどお子さんによって効果的な扱い方が異なります。(今教室では、フアーンというキャラを作成中です)
②「わからないこと」を整理する 不安の正体は「未知(わからないこと)」です。「誰が担任か分からない」「席がどこか不安」など、具体的に何が気になるのかを書き出し、コントロールできること(持ち物の準備など)と、できないことを分ける練習をします。⇒わかっていると不安や恐怖は少し楽になる傾向がありますし、対処がしやすくなります。
③「いつも通り」のルーティンを死守する 環境が変わる時こそ、「変わらない習慣」が脳に安心感(安全基地)を与えます。⇒こういうときに生活習慣が変化して乱れが生じやすくなるので、不安はありながらも安定的な生活習慣を作っておくとよいでしょう。
2. 親・保護者の3つの関わり方
親が「不安を解消してあげよう」とすることはとても良いことですが、焦りすぎるとその焦りが子供に伝播することがあります。「安全・安心」としての役割に徹するのが近道になることもあります。
① 評価やアドバイスよりも共感からスタートする
「大丈夫だよ」「怖くないよ」という励ましは効果がある場合もありますが、時に子供の「怖い」という実感を否定することに繋がりそれを強化する場合もあります。
「みんな同じだから大丈夫だよ」
という声掛けもいいですが、
「新しい教室、ドキドキするね」「落ち着かない感じがするんだね」
のようにまずは、子供が見せている状態をそのまま言葉にして返し(ミラーリング)、「あなたの不安はもっともだ」と承認することが、安心感の土台になります。
そのうえでアドバイスを欲しがっているようなら伝えてあげると効果的な場合があります。
② 予行イメージを共有する
変化に対する心理的なハードルを下げるために、具体的なイメージを持つと良いかもしれません。
⇒ 視覚情報の活用:を活用する通学路を一緒に歩く、学校のHPをみる、だいたいの想定を一緒にイメージするなど。
⇒「特性」への配慮: 変化に強い抵抗があるタイプ(特性のある)の子供には、「もし困ったら保健室に行っていい」など、具体的なエスケープルート(逃げ道)を事前に決めておくと、それだけで心の余裕が生まれます。
③ ねぎらいを大切に「できたことに注目する」
新学期が始まって数週間は、帰宅後にひどく疲れたり、甘えたり、逆に反抗的になったりすることがあります。これは外で必死に適応しようとしている証拠です。 「学校どうだった?」としつこく聞くよりも、
「今日一日、新しい場所で過ごせたね」という事実を静かに労い、家を徹底的にリラックスできる空間に整えることを優先されるといいかもしれません。
3. 不安は本人を守ろうとしているという視点
子供の不安を単なる「性格」として捉えるのではなく、脳の「予測符号化(Predictive Coding)」のメカニズムとして理解することも有効です。
脳は「予測できない事態」を危機と判断してアラート(不安)を出します。
そのため、親の役割は「不安を消すこと」ではなく、
「予測可能な情報を少しずつ増やし、脳のアラートを鎮めていくガイド」になることととらえる視点もよいでしょう。
脳は予測して自分が傷つかないように(現実と誤差がすくないように)最悪の想定をして、
その脅威から本人を守ろうとしている
という視点もあります。
原始時代であれば非常に有用な機能ですが、現代では行動が抑制され、動けなくなることもあります。
昔は驚異の動物や天変地異はある程度したらなくなるものでしたが、人間社会の中に脅威を感じる現代では、それはずっと逃れられないものとなるので、うまくこの「不安ー回避ー短期的安全」という流れの機能が現実にうまく適応しにくくなります。
新学期の不安に対してできる心理的成長とソーシャルスキル
つぎに新学期の不安に対してできるお子さんへの心理的成長とソーシャルスキルについて説明していきたいと思います。
①不安という感情への理解と扱い方を学ぶ
今自分はどんな不安を持っているのか?
なぜそう感じるのか?
どう扱えばいいか?
どうすれば薄れるのか?
を理解していくことで不安が軽減され、扱いやすくなっていくかもしれません。
当相談室では、カウンセリングや心理教育セッションなどで行うことができます。
②心理的成長を促す
不安や恐怖を感じる場合、
- トラウマ的な記憶に対応する
- 傷つきを回復させる
- 許せない、納得できないことにアプローチする
- そのストレスに慣れていく(受け入れていく)
- 回避したい欲求にアプローチ
- 例外や未来志向から考える
など人によって異なり、いろいろな方法で乗り越えていくことができます。
そのお子さんに合った方法を選び、心理的な成長を促していきます。
手法としてはカウンセリングや心理教育(心理学を学ぶ)といった方法で行っています。
また自分が成長し、自信がつくことで不安感を減らすことができます。
短所を改善することだけではなく、長所に目を向けていくことで自信を回復させていくことも大切です。
③安心と安全を確保しながらも立ち向かう
不安が出てくる時期は、安全や安心が欲しくなる時期でもあります。
いつも一人でできる事でも心配になって、「親に一緒に」ということもあります。
安心と安全を与えながらも少しずつできることを増やしていけると良いかもしれません。
どのような関りが良いか?どのように向かっていけばいいかは、お子さんへの理解が深まると見えてきます。
そういったご相談のなかでは、
- お子さんとの関りはどのようにすればいいか?
- どこまでやってあげてどこから自分で頑張ればいいかを理解する
- 子育てや関りの方法のバージョンアップ
- 目標設定はどうすればちょうどよいのか?
- 不安が出てきた時のかかわりや扱い方
- 日常生活でできる事
- 安心と安全はどうすれば感じられるか?
などについてお応えしております。
④ソーシャルスキルを増やしていく
ソーシャルスキルの課題によって起きている問題では、スキルの獲得によって不安を減らしていくことができます。
- 人とのコミュニケーションスキルを上げる(慣れる)
- 楽しさを共有する
- 言いたいことを伝えられるようになる
- 妥協ができたり、話し合いをすることができる
- ストレスや不快感覚への対処ができる
- 興味の幅を広げる
- 自己理解と他者理解を深める
- 不安などの感情をコントロールする
などのスキルを増やしていくことができます。
個別療育や小集団療育で行っております。
➄身体症状に対応する
カウンセリングなど面談セッションでは、身体症状に影響を与える「不安」にアプローチしていくことができます。
- 言えなかった本音を出す
- トラウマ
- 不安自体が減る方向に向かう
- 身体アプローチ
- 環境調整
などお子さんによってどのようなアプローチが良いかが違う場合があります。
その状況に合わせて行っていくことが大切です。
おわりに
新学期には不安はつきものです。
ある程度はあるのが普通、といっても過言ではないかもしれません。
新学期にうまく適応していくために今できることがあればぜひやってあげてください。
4月からの良いスタートになりますように、こちらでも専門的にサポートを行っていくことができます。
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