「将来、この子はどのような仕事が向いているのだろう?」

「大人になったとき、自分のことをどのくらい自分でできるようになるのだろう?」

「勉強だけではなく、社会生活に必要な力はどのくらい身についているのだろう?」

発達や知的能力に特徴のあるお子さんを育てている保護者の方から、このようなご相談を受けることがあります。

子どもの将来を考えるとき、学力や知的能力だけを見るのでは十分ではありません。

身の回りのことがどの程度できるのか、

人とコミュニケーションを取ることができるのか、

集団の中で過ごせるのか、

気持ちや行動を自分で調整できるのか、

といった「社会生活に必要な力」も重要になります。

そこで、子どもの日常生活における社会生活能力を把握するための検査の一つが

「S-M社会生活能力検査 第3版」です。

「勉強ができるか」「IQが高いか」ではなく、

「実際の生活の中で、どのくらい自立して生活できているか」

「人との関わりや社会生活に必要な力がどの程度身についているか」

がわかりやすく理解しやすくなる検査です。

名古屋こどもカウンセリングとSST教室では、

子どもの発達や社会生活上の特徴を理解し、

今後の支援につなげるためのアセスメントの一つとして、

S-M社会生活能力検査についてご案内しています。

※適用範囲は乳幼児(1歳)~中学生(13歳)の保護者や先生による回答式の検査ですが、社会生活能力が遅れている方は年齢13歳以上でも可能です。

S-M社会生活能力検査 第3版とは?


S-M社会生活能力検査 第3版は、

乳幼児から中学生までを対象として、

子どもの普段の生活における「社会生活能力」を把握するための質問紙式の心理検査です。

S-MとはSocial Maturityの略で、生きていくための適応力である「社会成熟度」を客観的に理解できることがこの検査の特徴です。

日本文化科学社によると、

社会生活能力とは、自立や社会参加に必要となる生活への適応能力を捉えるものとされています。

この検査の大きな特徴は、

検査者が子どもに直接課題を行わせて能力を測定するのではなく、

子どもの日常生活をよく知っている保護者や担任の先生などが、普段の様子をもとに回答する点です。

第3版は2016年に発行され、現代の子どもを対象とした調査に基づいて換算表が改められ、質問項目についても内容や表現が見直されています。

質問項目は129項目で構成され、

回答結果から「社会生活年齢(SA)」と「社会生活指数(SQ)」を算出することができます。

また、領域ごとのSAをプロフィールとして見ることで、子どもの得意な領域と支援が必要な領域を視覚的に把握することができます。

S-M社会生活能力検査では何を見るの?


S-M社会生活能力検査 第3版では、社会生活能力を大きく6つの領域から捉えます。

検査結果では一目でこの6つの領域がどのくらいの社会生活年齢かが理解しやすい形で見ることができます。

①身辺自立

衣服の着脱、食事、排せつなど、自分自身の生活を自分で行っていくための力です。

例えば、

・着替えを自分で行える

・食事を適切に行える

・排せつに関することを自分で処理できる

など、日常生活に必要な基本的な力を捉えます。

将来的な生活の自立を考えるうえでも重要な領域です。

②移動

自分が必要な場所へ移動するための能力です。

子どもの年齢が上がってくると、「家の中で移動できる」だけではなく、学校、地域、公共交通機関など、生活範囲を広げていくことも重要になります。

将来的な社会参加を考える場合にも、移動能力は重要な基礎になります。

③作業

道具を扱ったり、目的に沿って作業を行ったりする力です。

将来の仕事を考える場合にも、「指示されたことを理解して作業する」「道具を適切に使う」「一定の手順で作業を続ける」といった力は重要になります。

ただし、S-Mの結果だけから「この仕事が向いている」と直接判断するものではありません。

あくまで、現在の生活能力や発達上の特徴を把握するための一つの資料として活用することが大切です。

➃コミュニケーション

言葉や文字などを使って、人と意思を伝え合う力です。

「自分の要求を伝えられる」

「質問に答えられる」

「相手の話を理解する」

「必要なことを人に伝える」

といった能力は、学校生活だけではなく、将来の社会生活や就労にも関係する重要な力です。

➄集団参加

集団や社会生活に参加していくための力です。

学校や療育の場では、

・集団のルールを理解する

・他の人と一緒に活動する

・順番を待つ

・周囲に合わせて行動する

・集団の中で必要な行動をする

などの力が求められます。

一人でできることが多くても、集団になると難しくなるお子さんもいます。

そのため、個別の能力だけではなく、「人と一緒に生活する力」を見ることも大切です。

➅自己統制

自分の行動をコントロールし、目的に向かって行動する力です。

例えば、

「嫌なことがあってもすぐに行動に出さない」

「気持ちを切り替える」

「自分の行動を調整する」

「必要なことを最後まで行う」

といった力が関係します。

「社会生活年齢(SA)」と「社会生活指数(SQ)」とは?


S-M社会生活能力検査では、

結果から「社会生活年齢(SA)」と「社会生活指数(SQ)」を算出します。

社会生活年齢は、その子の社会生活能力が発達的にどの程度の水準にあるのかを年齢として捉えるための指標です。

一方、社会生活指数(SQ)は、実年齢に対して社会生活能力がどの程度の水準にあるのかを指数として示すものです。

例えば、実年齢が8歳であっても、

「身辺自立は比較的高い」

「コミュニケーションは年齢相応に近い」

「集団参加はやや苦手」

「自己統制に大きな課題がある」

というように、領域によって発達の仕方が異なることがあります。

この「得意・不得意のプロフィール」を把握できることが、S-M社会生活能力検査を支援に活用するうえで重要なポイントです。

詳しくは結果の報告時にお伝えしますのでご安心ください。

なぜ「将来の仕事」を考えるときに社会生活能力が重要なのか


子どもの将来を考えるとき、どうしても、

「勉強ができるか」

「IQがどのくらいか」

「学校の成績はどうか」

「WISCなどの検査の結果」

という部分に目が向きやすくなります。

もちろん学習能力は大切です。

しかし、将来、社会の中で生活していくためには、それだけではありません。

例えば仕事をする場合、

・時間を守る

・必要な場所へ行く

・人の話を聞く

・指示を理解する

・作業を行う

・分からないことを質問する

・困ったときに助けを求める

・人との距離を調整する

・気持ちを切り替える

・失敗しても立て直す

といった力も必要になります。

「仕事ができる」ということを考えるときには、学力だけではなく、日常生活能力、コミュニケーション、社会性、自己調整などを総合的に考えていく必要があります。

そういった点を理解しやすく、非常に早い結果と報告を知ることができるのがこの検査の特徴です。

進路は「その時になってから」考えるもの?


特別支援教育を専門とする学校心理士SVの山内康彦先生の著書

『特別支援教育が専門の学校心理士SVだから知っている 改訂新版 特別支援が必要な子どもの進路の話』

では、子どもの進路を考える際に、18歳以降の「出口」を見据えながら、幼児期・小学校・中学校など、それぞれの段階から計画的に考えていくことの重要性が語られています。

①「18歳の出口から今の進路や療育を考える」※高校卒業後どの方向へ行くか?からスタート

②「中学校時代から高校までの進路を考える」

③「小学校時代から中学校までの進路を考える」

➃「幼・保卒園時代から小学校までの進路を考える」

➄「未就学期に考えておくこと・取り組んでおくこと」

というように、将来から逆算して現在の支援を考える大切さをこの本では学ぶことができます。

「今、この子が困っているから支援する」だけではなく、

「この子が将来、できるだけ自分らしく社会の中で生活していくためには、今どのような力を育てていく必要があるのか」

という視点を持つことも非常に大切になります。

山内先生の著書では、S-M社会生活能力検査についても、社会性を把握するための検査の一つとして取り上げられています。

「これから育てる力」を見つける


検査というと、

「何ができないのかを調べるもの」

という印象を持っている方もいらっしゃいます。

しかし、私が発達支援で大切にしているのは、検査結果を「できないことだけを指摘するための資料」にしないことです。

検査から見えてきた特徴を、

「これから何を練習すればよいのか」

「どのような環境なら力を発揮しやすいのか」

「どのような支援があれば自立につながるのか」

を考えるために活用していきます。

検査結果から周囲の理解が促進され、

いつも怒られていた

配慮がなされなかった

ところに適切な環境調整やサポートが生まれることもあります。

二次障害の予防にもなりますし、

ご本人も理解しながら進めていける気持ちを持てる場合もあります。

名古屋こどもカウンセリングとSST教室で大切にしていること


当教室では、子どもの「できないところ」だけを見るのではなく、

「何が得意なのか」

「どのような場面なら力を発揮できるのか」

「何につまずいているのか」

「どのような支援があればできるのか」

を丁寧に考えることを大切にしています。

そして、現在の困りごとだけではなく、

「この子が将来どのように社会の中で生活していくのか」

という長期的な視点を持って支援やサポートを考えていくことができます。

早い段階から子どもの特徴を把握し、その子に合った経験を積み重ねていくことが大切です。

このような方にS-M社会生活能力検査をご検討いただけます


・子どもの社会生活能力を客観的に把握したい

・同年齢の子どもと比べて生活面でどのような特徴があるのか知りたい

・身辺自立、コミュニケーション、集団参加などの得意不得意を知りたい

・発達障害や知的発達の遅れがあり、今後の支援を考えたい

・将来の自立に向けて、今何を身につければよいのか整理したい

・SSTでどのような課題を設定すればよいのか考えたい

・小学校、中学校、高校など今後の進路を考える材料がほしい

・家庭と学校、療育機関で子どもの特徴を共有したい

・現在の支援が子どもの将来につながっているのか考えたい

このような場合には、このS-M社会生活能力検査を含めた発達・心理アセスメントが一つの参考になります。

費用と時間


当教室では、S-M社会生活能力検査 第3版を以下の2つの方法で実施しています。

※適用範囲は乳幼児(1歳)~中学生(13歳)の保護者や先生による回答式の検査ですが、社会生活能力が遅れている方は年齢13歳以上でも可能です。

① 検査+結果説明:7,000円
所要時間:約30~50分(うち記入する時間約15分込み)
来談される保護者が記入する場合、検査当日に検査の結果をご説明できます。

② 検査+結果説明+詳細な聞き取り・統合的な所見・今後の支援提案:15,000円
初回30~40分程度で検査と聞き取りを行い、2回目に20~50分程度で結果と今後の支援について詳しくご説明します。

②では、S-Mの結果だけでなく、お子さんの発達・生活・行動面などについて詳しくお聞きし、今後どのような支援を行っていくとよいのかを一緒に整理し、お伝えしていきます。

回答用紙について

記入は

  • 保護者
  • 学校や園の教員・保育士
  • 教育相談機関や病院の教育担当者
  • 療育指導員

などが可能です。

保護者以外ですと毎日のめんどうをみている人、日常的に接している先生になります。

※その子の事を一番知っている「保護者」の方が記入することが一般的ではありますが、誰に回答してもらうべきか、判断できない場合はご相談ください。

記入者(保護者以外の人)が当日面談に来ることができない場合、保護者様が取りに来ていただいてお渡しするほか、郵送での対応もご相談いただけます。

参考文献・参考資料

上野一彦・名越斉子・旭出学園教育研究所編(2016)『S-M社会生活能力検査 第3版』日本文化科学社

山内康彦(2024)『特別支援教育が専門の学校心理士SVだから知っている 改訂新版 特別支援が必要な子どもの進路の話』WAVE出版

日本文化科学社「S-M社会生活能力検査 第3版」

※S-M社会生活能力検査は、子どもの社会生活能力を把握するための心理検査の一つです。検査結果のみから診断や将来の進路・職業を決定するものではありません。子どもの発達、認知、情緒、行動、家庭・学校での様子などを総合的に捉えながら活用することが大切です。

未来ある子どもたちにより良い環境と機会を与えられますように努めてまいりたいと思います。

お問い合わせ


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場所は愛知県名古屋市昭和区川名にあります。詳しくはこちらへ「アクセス」

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