めんどくさい。。。
やる気が出ない。。。
行動しなきゃと思ってもできない。。。
そんな気持ちを感じるお子さんも大人も増えてきているのが、現代かもしれません。
命を懸けて必死に食べ物を探す時代はなくなり、
生まれた時から安全で豊かな時代になりました。
行動の自由な選択ができる時代になったことも影響しているかもしれません。
その分、行動を惹起(起こ)させるものが減ってきているのでしょうか。
そういった意味において、このような新たな心理的課題を抱えながら生きているのが現代かもしれません。
そんな中でこの知識が新たな認識を生み、お役に立てられたらと思い、記事にしております。
そもそも「めんどくさい」「やる気が出ない」のはなぜ?
めんどくさい
やる気でない
そんな気持ちが出やすくなってきている現代。
恐らく過去の歴史にもあったでしょうが、志や生きる意味を強く感じ、自分のやるべきことが明確な時代にはあまり感じにくかったのではないでしょうか?
ここでは相談臨床の経験から私見としてこのようなものが影響しているのでは?というものを挙げてみたいと思います。
めんどくさいとやる気がでないを感じやすくさせる理由と要因
①すぐに簡単に報酬が手に入りやすくなってしまった(簡単にお金や人気を得る人が生まれた)⇒地道な努力を強い苦労に感じる
②ドーパミンなどの脳の報酬系の問題(スマホやゲームなど苦労しなくても快楽を味わえる) ⇒苦労して快楽を得ることに苦労感や無駄な感じを感じる
③志や生きる意味、やり遂げたいことが見えにくくなった(お国のため、家族のためという世界観が安定し、個人の時代になってきているため、何の目的で生きればいいかわからない方が増えている)⇒やりたいエネルギーで駆動しないため多少のことが苦痛に感じる
④なんでそんなことしないといけないの?という疑問とその疑問への回答が行われていない?(計算機を使えばいいのに難しい算数を計算してているのはなぜ?など)) ⇒意味を見出せないことによる抵抗感や苦労感
⑤一人の時間が増え、自分の気持ちを考えてもよい時間が増えた(昔は忙しく、心の中に浸る時間もなかったかもしれない。また人がいつも周りにいることも多かった。自分の気持ちよりお国や家族、命のためなどの行動重視の世界が多かった) ⇒心理状態を感じやすくなったがゆえに負の感情の影響も受けやすくなったかもしれません。
⑥性格や発達特性の多様性 ⇒めんどくさい、やる気でないといった気持ちを人より感じやすい人やお子さんもいます。完璧主義なども関連。
⑦めんどくさいとやる気が出ないの対処法がわからない ⇒おそらくこれほどまでにこれらの気持ちを感じる時代はなかった分、対処法を知らないということも影響しているかもしれません。そのためこの記事でひとつの対処法をお伝えできたらと思います。
⑧失敗やうまくいかないことへの耐性が弱いケース(失敗やミスに対して強く負の感情感じる、恐怖を感じる) ⇒行動を動かすためのエネルギーがわきにくくなる
⑨失敗を繰り返して学習性無力感(またやってもうまくいかないと感じる)⇒行動を回避したり、動けなくなる
⑩aMCCがうまく使えていない、強化されていない
⑪豊かさがゆえに感じる(人類史上おそらくこれほど安全で、豊かであったことはない)
⑫行動するための目的や動機づけがうまく見いだせていない
⑬今の自分にとって優先度や価値が低い
⑭工程が多くおっくうになる(成果や報酬までが遠い感覚)
aMCCとは何か?
aMCC(the anterior midcingulate corte:中帯状皮質前方部)とは、大脳半球内側面の前方部に位置し、課題や問題に取り組む力(遂行力)に大きな影響を与えているといわれています。(スタンフォード大学の神経科学者アンドリュー・ヒューバーマン博士などの研究から)
やりたくないと感じたり、困難に直面した時にaMCCは活性化します。
自分を律したり、自己制御を行ったり、継続させたりする働きがあるため、「粘り強さの脳」「努力脳」などと呼ぶ方もいます。
行動するかどうかを決める重要な働きをするため
行動するか?
やめるか?
を判断する機能でもあります。
行動を惹起する点火スイッチのような働きにも強く関係しています。
このaMCCは意欲を高め、行動を維持させる働きを持ちます。
多くの場合、やる気やモチベーションがあるときには行動へスムーズに移行することができるでしょう。
しかしやる気やモチベーション、動機づけがない場合が問題になります。
めんどくさい、やる気がないといって行動できない結果になることもあるでしょう。
しかしこのaMCCが強化されていたり、うまく使えていると
めんどくさい、やる気がでない
状態でも行動できることが増えるとおいうお話です。
一部の人は生まれつきこのaMCCの機能が高い人がいます。
そういう人は困難な課題に打ち勝つ強さや粘り強さを持ちやすいことがわかってきています。
逆言うと生まれつきこのaMCCの機能が低い人もいるということです。
しかしながらその先天的な能力は変化しないかというとそうではありません。
行動できる力は伸ばすことができる
aMCCをうまく使えていない、機能的に高くない場合でも脳神経系には可塑性(かそせい)というものがあります。
使えば使うほど使いやすくなるというものです。(強化)
逆に言いますと
使わなければ使いづらくなるということでもあります。(消去)
aMCCも使えば使うほど使いやすくなるということになります。
逆にうまく使えていなかった人はそれだけ可能性があるかもしれません。
aMCCを鍛えていく方法
ではaMCCを鍛えていくにはどうすればいいでしょうか?
鍛える前に知るべきことがあります。
それは知識であり、新しい認識になるものです。
※この認識が理解できない状況で行うとうまくいかなかったり、逆効果になることもあります。また精神的な負担が強い時期にスタートすることは困難です。
認知からaMCCを鍛える
やる気やモチベーションがあってようやく行動ができると考えている方は、特に注目すべき知識かもしれません。
それは行動した後にやる気やモチベーションが出ることも多いということです。
やる気がないからやらない
モチベが上がらないからやらない
というのも確かにあるのですが、
はじめてみるとやる気やモチベーションが上がってくることも多いことが最新の脳科学で分かってきています。(ズーニンの法則など)
脳科学者の方は行動した後にやる気が出ることを知っているので
行動する前にやる気が出ないのは当たり前だよ、という意見を持っている方もいるくらいです。
やる気やモチベーション、動機づけなどをエネルギー源として行動していた人にとってはある意味朗報かもしれません。
それらがない状態でもいいよ
ということです。
行動していけば着火していくから、とりあえず薪を集めましょうか
というところで考えていく認知を新たに獲得できれば行動できることも増えるかもしれません。
めんどくさい、やる気が出ないことと闘わなくていい
めんどくさい気持ちを押し殺して
やる気を何とか振り絞って
と気持ちや心の世界で頑張っていたことを行わないで行動できるようになるかもしれません。
めんどくさい、やる気が出ない心理状態と闘う必要もなくなっていくかもしれません。
その気持ちは置いておいて、とりあえず数分だけ動く
そしたらやる気がでてきて行動が継続していく
といった経験を繰り返していくことで
行動しやすくなるというのがこの機能になります。
この心理的な葛藤の時間も労力もなくなっていけば非常に楽ですよね。
めんどくさい、やる気がない自分や子供を責めなくなってきた
以前まで責めていたところが減ってきたらいいですよね。
めんどくささややる気が出ない自分や子供に対して
まあそんなときもあっていいかというくらい
うまく扱えて来ると
そこで足を引っ張らなくなるだけで
行動しやすくなるときもあります。
やる気なんて始める前にでなくていいよ(行動したら出てくるもんだから)
学校行きたくないって行く前は思うもんだよ
などの声掛けに変わって
行動前の不安やネガティブな感情をうまく扱えるようになることもあります。
動いてやる気が出ることを感じてみる
比較的行いやすいことから始めてみるといいかもしれません。
やってみてからやる気やモチベーションが上がって行動が維持される感覚を感じてみましょう。
その感覚を感じていくなかで今までの常識が広がり、行動しやすくなることも増えるかもしれませんね。
行いやすい小さなスモールステップからaMCCを鍛える
目標達成しやすいところから成功体験を積むことが大切です。
どんな小さなことでもいいから「できた!」を感じてみてください。
長期的な粘り強さにはビジョンや目標も必要になる場合もあります。
「めんどくさいからやらない」と「めんどくさいからやる」
めんどくさいからやらない
という1択から
時には
めんどくさくてもいいのか
じゃあちょっとやってみよう
という経験を積めるといいですね。
※めんどくさいときにすべて行動に変える必要はありません。
やる気だより、モチベ頼りの脳神経系を変化させる
やる気がなくてもモチベーションがなくても行動できたら自分や子供をほめたり、励ましましょう。
シールを張ってどれほどできているかを視覚的に体感させてあげてもいいかもしれません。
ただ本当に嫌がるものにこの機能を使うべきではありません。(恐怖や不安が強く出るもの)
なかなか行動できないものを1日1つでも出来たら良いということです。
「できた!」という実感を感じられるといいですね。
その積み重ねの連続が神経を変化させ、活動にも変化が生まれていきます。
ただしお子さまの心理状態は見ておかないといけません。
必要に応じてこのaMCCの機能やこの記事のような情報を提供しないと意味が分からず、不満を抱えてしまうこともあるかもしれません。
まずは親が体感してみるといいですね
実際に保護者の方が知って、経験して、お子さまに必要そうであればお伝えして一緒に練習してみるのもいいでしょう。
今の時代にはとても必要な能力かもしれません。
めんどくさいを消す方法
「脳の学校」代表の加藤俊徳先生(医学博士)によると、めんどくさいと感じるときに
目をつぶって30秒声に出して片足立ち
をおこなうとその感情がなくなると提唱されております。
頭の中がすっきりして集中しやすくなるようです。
なので宿題がやる気でないといった場合、勉強の前にこのルーティーンを最初に行うのもいいかもしれませんね。
4分だけやってみるズーニンの法則
一歩踏み出して行動すると、脳の側坐核が刺激され、ドーパミンが分泌されることでやる気が湧いてくると言われています。(作業興奮など)
アメリカの心理学者であるレナード・ズーニン氏の「ズーニンの法則」は、何かを行動を行う最初の4分間が非常に重要であることを提唱しました。
まずは4分簡単なことから始めてみるといいでしょう。
やりたくないことだけど成長を促す行動は非常に多いものです。
その成長を意識しながら行うような技術も人によっては必要かもしれません。
その理由は下のテーマで説明します。
aMCCを鍛えていく中でうまれるもの
aMCCの機能が低いと行動の前に苦労感を強く感じたり、頑張った後の報酬が低く感じやすくなる傾向もわかってきているようです。
苦労感を感じやすいということは、行動がより起こりにくくなる場合があるということです。
これは大きな問題です。
それでもaMCCをうまく活用して鍛えていく中で、そのネガティブな捉え方も変化していくことがあるようです。
そのため行動が起きるまでの時間が速くなったり(無駄な時間つぶしが減る、心の時間が減る)
行動しやすくなるということです。
こころの時代と呼ばれ、心理に偏りすぎることも多い時代だからこそ、行動とのバランスをとるこのaMCCを理解していくことはとても役に立つことかもしれません。
ちなみに心理学は、心理だけを研究するものではなく、心理と行動を研究している学問です。
おわりに
苦しいことが嫌いな人は多いと思います。
不便さを解決するビジネスが発展していく時代を生きる私たちにとって、不便さや苦痛を嫌う傾向が培われるのも仕方ないかもしれません。
しかしながら苦痛を伴う行動の中に多くの成長があるのも事実です。
めんどくさい
やる気が出ない
という苦痛をうまく扱い
行動できることが増えることは
子どもの人生において
パラダイムシフトになるひとつなのではないでしょうか。
苦しみ=嫌なもの、回避したいもの
から
苦しみ=不快だが成長する、気にせずやれば達成感がある
という認識を少しずつゆっくり
転換できていけるといいですね。
長文お読みいただき、ありがとうございました。
当相談室および教室では、
めんどくさい、やる気が出ないときの扱い方やそれらがうまく働くようにしていくような相談も受けております。
aMCCを使いやすくなるように鍛えていくことも大切ですが、動機付けや目的など意味を見出すこと、抵抗する気持ちに対するアプローチなども同時に行っていくことで効果的になることも多くあります。
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